ピカソが,ファンからナプキンか何かの紙切れに簡単な絵を描
いて欲しいとお願いされた.ピカソはそれを30秒で完成させた.
ピカソはその対価として100万ドルを請求した.
たった30秒で描いた絵に100万ドル!!!
その話は有名である.
確かにその絵を描くのに必要だった時間は30秒かもしれない.
しかし,それには彼のこれまでの研鑽の時間は含まれていな
い.
ピカソ曰く,「30年と30秒ね」
注) 実際には,ピカソのその請求は冗談だったそうである.
昨日,オランダの共著者から「もっと現実的な状況を今のモ
デルに組み込むことはできるかい?」とメールが来た.できない
ことはないが,それを定式化し,数値計算が終わるまで半
年はかかるぞ,と返事した.加えて,その労力の割りに得ら
れるバリューは大きくないとも.
自分の目の前にある数式は,すでに数式になったものである.
その数式が対象となる現象をうまく表現できているか否か,
それに確信が持てるところまで到達するのに最もコストがかか
るのだ.