人を褒めるときは,その人の外側ではなく内側を褒める.
篠原信著
自分の頭で考えて動く部下の育て方
より
例えば,息子がサッカーの試合でゴールを決めたとしよう.
通常,「ゴール決めたじゃん.いいぞ!!!」と褒める.
しかし,それは息子にとっては,親からの「また同じ結果を
出してね」というプレッシャーにもなる.
「ゴールを決めた」というのは結果であり,彼の外側のことで
ある.では内側とは何のことなのか?
それは「工夫」である.
ゴールを決める前に何を考え,どんな工夫をしたのかを問
い,それを褒めるべきである.
そうすると息子にとっては,同じ結果が求められているという
よりは,工夫をすることが求められているということになる.
両者は似て非なり.
工夫するということは,自分の中で「仮説」を立て,それを
「検証」することを意味する.いわゆる,PDCAサイクルを
回すことである.
世の中には,どう接したらよいのかわからない問題が数多く
存在する.その問題を扱うためには,「こうではないか」と
仮説を立ててみて,その仮説にしたがって行動してみる必
要がある.でなければ,何をしてよいのかわからないので,
思考停止状態に陥ってしまう."当たり"をつける必要があ
る.それが間違っていたら,その仮説を修正すればよい.
仮説を検証し,間違っていたことがわかった段階で「失敗
した」と捉えてしまい,仮説を修正する前にやめてしまう人
は少なくない.
それは失敗ではなく,単に「うまくいかなかった仮説」である.
その仮説を修正して再び検証を行えばよいのである.
ここでふと,これまで恩師からいただいた言葉を思い出した.
記憶に残っているのは,小生の内側を褒めてくれた"短い"
言葉だった.「ハングリー」とか「這い上がる」とかの類である.