前回の続きである.ここでは「怠け」を「先延ばし」と同等のこととして扱
うことにする.先延ばしにも2通りある.
(1) 締め切りのあるもの
(2) 締め切りのないもの
(1)は締め切り間近になると,ティム・アーバンのいう「パニックモンスター」
が現れ,「ご褒美をねだるサル」を追い出してくれる.そのサルは我々
に対して,容易で楽しいものをちらつかせてやるべきことを邪魔する.
締め切り間近になると集中力が急に増すのは,パニックモンスターのお
かげである.
ここで,このアーバンの話をスティーブン・R・コヴィー(著書「7つの習慣」)
の時間管理マトリクスに対応させて述べる.
サルが我々を導いてくれるのは「第四領域」である.ここは居心地がよ
い.居心地のよいところでくつろいでいると,いずれ締め切りが迫る.
そうなると,パニックモンスターが現れて「第一領域」に突入するというこ
とだ.「第三領域」も一見,活動しているように見える.しかし,自
分の評価を左右する本質的な活動でない.この領域で時間を過ご
すことも避けなければならない.
厄介なのは(2)である.締め切りがないのでパニックモンスターが現れ
てくれないのだ.これはマトリクスでいうと「第二領域」の活動にあたる.
ここでの活動は我々の人生をよいものにするか否かに影響する.4つ
の領域の中で最も注力しなければならない.
この手の活動は,すぐに活動を開始する必要はないが,これを怠ると
後々どこかで大変な事態を招く.その事態に陥っても,付け焼刃で
はどうにもならないところが厄介である.
我々の商売の主なところでは研究がそれにあたる.自分が論文を書
こうとしなければ締め切りはない.我々にできることは,パニックモンス
ターの力を借りずに自力でサルを追い出すか,自分で締め切りを設
け意図的にパニックモンスターに登場してもらうしか手立てはない.
時間管理マトリクス