カラノウ (身体は脳みその乗り物): 切れない刃を使うと達成感が大きい

2016/05/16

切れない刃を使うと達成感が大きい

切れ味の鋭い仕事をしたときは,手応えはない.
ここでいう「手応え」とは,適度な摩擦,適度な抵抗を意
味する.鈍い部分があるために,そこそこの苦労を強いら
れる.

プロの手応えは切る前に既にある.仕事がないときにも毎
日刃を研ぎ,磨き上げた者だけが発揮できる.

ドラマなどで,締め切りギリギリで徹夜して間に合わせて「オ
レ達,やったぞ!!!」というシーンがある.確かに充実感は得
られるだろう.しかし,それは素人のメンタリティである.

森博嗣著
常識にとらわれない100の講義
より

いつも会社説明会の際にリクルータに「仕事でよっしゃ!!!」
と感じた瞬間とはどんなときですか,という質問をする.

つい先日,独立系船舶管理会社の取締役の方に同じ
質問をした.そうしたら,「基本的にそんな達成感を得ら
れる仕事はない.なぜなら,船が順調に動いて当たり前
の仕事をしているからだ」とのこと.

これは,ドラッカーの言葉「よくマネジメントされた工場では
おもしろいことは何にも起こらない」に通じるものがある.

本質をついた返答であったということだ.

問題は,暇なときにどれだけ自分の刃を研げるかである.
これぞまさしく「緊急でないが重要なことに先行投資する」
に他ならない.