カラノウ (身体は脳みその乗り物): みかん

2014/12/15

みかん

少し前に故郷からみかんが送られてきました.
故郷の島は,児童文学作家椋鳩十の著作「黄金の島」(19
75年)の舞台になった島です.晩秋になると島中にみかん
が実り,太陽の光を受けてそれが黄金色に輝いたそうです.

ちなみに椋鳩十は,鹿児島での高等小学校の臨時教員時
代に,夏にふんどし一丁で授業をしたために3ヶ月で解雇さ
れたそうです.

みかんは感謝しながら毎日いただいています.以下,個人
的に感じたことを率直に書きます.

送ってもらったみかんのサイズはいわゆるLサイズ(平均直
径10~12cmくらい?)で,果実はフワフワした柔らかい皮に
包まれています.

今回,次の2つについてしみじみと考えてしまいました.
1) 自分が都会人になってしまったこと.
2) みかんの品種のこと.

前者について.故郷でみかんを作っている人は,都会の人
は大きいサイズのみかんを好むと考えています.少なくとも,
私が子どもの頃,周りにいた大人はそうでした.本来,故郷
の典型的なみかんは偏平で,薄い皮がパーンと張ったもの
です.しばらく前から偏平でないみかんが送られてくるように
なりました.私は都会人になってしまったのかもしれません.

後者について.前者のところで述べた偏平のみかんは古い
品種「青江」(1902年~)特有のものです.これを木で完熟さ
せたものが本当にうまいのです.放置され荒れた畑に実っ
たみかんでさえも.
樹齢が100年近くになり,維持管理が大変であるということ,
この品種は色ずきが遅く,年末需要に応えるという,市場
の事情で敬遠されたようです.でも,本当にうまいみかんは
これです.現在は,味よりも色づきのよさを優先した品種が
多く出回っています.

代々受け継がれていくべきみかんがどこかで失われてしま
ったのではないかと勝手に懸念しています.後継者不足の
問題も深刻です.
市場の要求に応えるべきか,それとも本質を究めていくべ
きか.葛藤があったものと察します.