カラノウ (身体は脳みその乗り物): 貧乏臭くない理由

2014/12/02

貧乏臭くない理由

安藤忠雄が創り出した空間は,なぜ貧乏臭くないのか?
コンクリート打放ちにも関わらず.

隈研吾著
10宅論―10種類の日本人が住む10種類の住宅 (ちくま文庫)

その答えの導出に深く関係するキーワードは次の2つ.
(1)抽象性
(2)素材感覚

千利休も同じく,わびさびを唱えながら貧乏臭くありません.

著者によると,それらは基本的に,「余裕の上に成り立つ
世界」
であることを二人とも見抜いていた,ということです.

幾何学形態は知性の象徴.さらに抽象性はコンクリート打
放しという最も安い素材の粗さ,貧しさをわびさびの次元ま
で引き上げたと.



















我が家のコンクリート打放ちの壁(片づけ中)

モノクロ写真も似ています.貧乏だからモノクロなのではな
く,余裕の上にモノクロがあるということです.さらに,モ
ノクロフィルムを大卒初任給と同じくらいの値段の中古カメ
ラに詰めて撮影していたわけですから.
今となっては,贅沢な趣味となりました.フィルムや印画紙
がここ数年で2~3倍に値上がりしました.