どうも我々親も,子どもに失敗のない,効率のよい生き方を
させたいがために,子どもの先回りをしてしまいます.
でも,それは子どもが自らの力で成長する機会を,親の手
で失わせてしまっていることになります.
子育てにおいても,子どもに失敗させて学ばせる仕組みが
必要であると切に思います.
マニュアル親になってはいけないのです.
畑村洋太郎著
失敗学のすすめ
すべての技術は,萌芽期,発展期,成熟期,衰退期そして
崩壊期を迎える.一般的に,萌芽期から衰退期に移行する
まで30年といわれている.
この30年というのは,人生のサイクルと密接に関わってい
る.30年も経てば,技術者は第一線から退いている.
技術が成熟した段階で事故やトラブルが相次ぐのは,真の
ベテランの不在という事情によるのではないか.
萌芽期では,技術の脈絡がようやく一本に結びついて形に
なっている状態である.
これが飛躍的に発展するのは,発展期を迎えたときである.
ありとあらゆる工夫が凝らされて,多くの失敗を繰り返す中
で技術に磨きがかけられる.
その結果,残ったメインルートは太く強固なものになる.同
時に,能率もよく,完成度の高いものになる.
しかし,成熟期は,このメインルート以外の選択肢が切り捨
てられていく段階でもある.このメインルートの技術は同業
他社へも普及する.管理者は,同業他社との競争に勝つた
めに利益率や効率を上げるための工夫を凝らし,メインル
ート以外の選択肢を切り捨てる.
マニュアルというのは,このメインルートのみを通ることを認
める.しかし,選択肢が狭められることで,自分が使っている
技術に対する深い理解のないまま使うことになる.
だから,予期せぬ事態が起こると,「思考停止」状態に陥り,
大失敗を起こして,組織に致命的な損失を与えることになる.
233頁の図を参考にして自分でも描いてみました.ただのマネです.